生前贈与を活用しての節税
相続税の一般的な節税対策をご紹介します。
すでにご存じの方も多いと思いますが、相続税の節税対策として最も有効なものが、生前贈与です。
被相続人が生前中、配偶者や子供などに財産を贈与すれば、その分相続財産が減少して、一般的には、相続税の負担を少なくして、財産の継承を行うことができます。
「贈与」について
贈与とは、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思表示をし、相手方がこれを受諾することによって成立する契約をいいます(民法549)。
贈与の意思表示は、書面でも口頭でもよいのですが、書面によらない場合には、まだ、その履行の終わらない部分に限り、いつでも取り消すことができます(民法550)。
預貯金・有価証券に係る生前贈与
預貯金や上場株式等を生前贈与し、贈与申告することが、オーソドックスな節税方法です。
この場合の留意事項として、贈与証書の作成にあたっては、贈与者と受贈者がそれぞれ署名し、それぞれの印鑑で捺印することが肝要です。
贈与証書を作成し贈与申告をしていた場合でも、相続税の税務調査において、受贈者の記憶と署名捺印が無かったことから、被相続人が一方的に作成したものと判定され、税務調査で否認された事例を聞いたことがあります。
生前贈与に係る贈与申告をさらに完璧なものとしておくには、贈与税申告書の氏名欄に、受贈者自らが署名し、印鑑も受贈者固有のものを使用することをお勧めします。
贈与税の配偶者控除
贈与申告による、大きな節税方法としては、「贈与税の配偶者控除」制度の利用が挙げられます。
贈与税は、相続税の補完税として設けられていますが、配偶者間の贈与については、
①同一世代間の贈与であること
②贈与の認識が概して希薄であること
③夫の死亡後の妻の生活保障の意図で行われること
などの理由から、婚姻期間が20年以上である配偶者から、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与に限り、それらの財産に係る贈与税の課税価格から2,000万円を配偶者控除額として控除することができます。(相続税法21の6①、相続税法施行令4の6③)
確実でリスクのない節税方法としてお勧めです。